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誰からもナンダッテーとかモルダーあなた疲れてるのよとかの言葉がないことをいいことに(相手にされてないだけ)ここ数日で得たにわか錬金術情報をもうちょっと整理しながらつらつら書いていきます。内容はついったまとめとしてよけといた記事とだいぶ被ります。
 いやこういうこと考えるならちゃんとガチの錬金術書読まないと(あと各言語をマスターしなくちゃ)いけないのはわかってるんですが、バカのお遊戯なんで見逃してください。





■「金色」の魔王と錬金術の金
 ついったでもつぶやきましたけどね、そもそも「金色の魔王」のネーミングに本来はさして意味というか意図がないことはわかった上でやってますよー……。本編1巻は行き当たりばったりで書いたって公式で公言されてますし。元ネタはルシファーですね。明けの明星、金星。だから金。闇と悪夢の王なのに金色ってかっこいいよねっていう、それくらい。
 で、錬金術のあった西洋ではもともと金星は美の女神の星であって「金」の星じゃない。ルシファーも明けの明星宵の明星であって金じゃない。金星と呼んでいる東洋においては、錬金術に相当するのは煉「丹」術。内容は色々合致したりしているらしいけれど、西洋の錬金術が目指したのは「対立概念全てを結合させた(金色、または赤の)存在の創出、そこに至る過程から得られる知識、原理」であるのに対し、煉丹術の目標は「昇仙」「不老不死」。金も重要視されて使用されていたみたいだけど、基本仙薬=丹は硫化水銀の赤。
 日本語の偶然の一致なんです。その日本語でもあくまで現代日本語。原作のフリガナだってあくまで「ロード・オブ・ナイトメア」。フリガナに金色は入っていない。わかってる。でも「すべてもののの母たる『金色の魔王』」と言う言葉に、錬金術における「金色なるもの」の考え方を放り込むと、その偶然の一致に、意味がガツンと出てくるわけで、それって凄くエキサイティングなことだと私は感じていて、だもんでこうしてバカがはしゃいでこじつけを延々語ろうとしたりするわけですよ。

■錬金術の手順からみる混沌の海、金色の魔王、その在り方
 錬金術の最初の状態はニグレド(黒化)、そのとき使用する物質がプリマ・マテリア。すべてが含まれているが、混沌として無秩序で美しくないもの。「混沌の海」と言う言葉でぱっと浮かぶのは金色よりこっちだと思います。そして過去、原初の混沌の海とは実際そうだったんじゃないでしょうか。「いや魔族が求めてるのは唯一絶対の無という秩序って主張を前からオマエはしてたし、L様は金色の魔王と作中はっきりと明言されてるだろう」という点についてはおいおい説明……になってるかなあ……。

 さてニグレドのプリマ・マテリアを男と女がそろった状態で色々手を加えて白くする(黒い部分を飛ばしてしまう)、これをアルベド(白化)と呼びます。錬金術師たちは「浄化」とも呼んでいたそうです。
 はてさて、ここでグレートマザーL様(女)と対になるオールドワイズマン(男)が瞑想ののち共同作業を行って、先に「黒いもの」である魔族を創りだした(混沌の海から切り離した)のならプリマ・マテリアにアルベドが起こったと言えそうなのですが、いかんせんオールドワイズマンが作中に見当たりません。ですので錬金術で経なければいけない過程としては不完全です。錬金術は過程を重要視し、行うには厳格なルールを守らねばなりません。それにどうも、スレイヤーズの世界では「先に世界ができて、自分からいろんなものが離れて行ってしまってさみしかったので、それを滅ぼして取り戻すためにL様が魔族を創った」という事になっているようです。
 これはアルベドと呼べない気がします。仮に魔族こそが黒ではなく白の存在なのだとしても、男女ペアで行っていません。プリマ・マテリアはすべてが含まれているから、男も含んでいるんだという考えもできなくはないと言えばないのかもしれませんが……。
うーん、あとがきはレイ=マグナスの初恋相手の姿(つまり求めている女性性=アニマ)をとっているから、本編はリナを核にしたから女性人格だっただけで本来は両性とか無性とかなのかもしれませんが、女性性と滅びばかり強調されているので、私はどうもL様の事をイコール混沌の海とは思えないんですよ……。混沌の海(ウロボロス。ウロボロスについては後述します)から浮き上がったグレートマザーの意識であり、混沌の海の一部で強くつながっている存在だけれどそれそのものではない――と思ってしまう。ここはむしろ私としても論理的反論を頂きたい部分なんですけどね……。それに錬金術のシンボルでは王と女王は結合されていても対立する別存在であるはずで……でも老子は大極図を「以て天下の母たるべし」って言ったらしい……確かに産むと言えば母だけど父はどこ……あああ混乱してきた。グノーシス主義のソフィアよろしく一人で産んだら失敗した?
 ええともうそれはおいといて、アルベドを経ていない(と仮定してしまう)なら、錬金術の最終段階であるルベド(赤化、アルベドに再び黒を取り入れ結合させ、相反するものをすべて持ちつつうまく存在しているものを創りだす)を起こして金たる存在にはなれないのです。これはむしろ一旦ネグレドに戻るために魔族を創ったようなものです。
 じゃあどうして魔族はあのお方を「金色の魔王」と呼んでいるんでしょうね?

■最終目標ルベド、その際に起こった認識齟齬
 世界(存在しようとする側に属するもの)と魔族を創ったおかげで、L様は白も黒も手放してしまいました。だからアルベドですらないL様は現在「無」を司っている存在となっていると考えられるのではないでしょうか。
 プリマ・マテリアはネグレドの段階(で使用する)の存在ですが、全てを内包しています。そういう意味ではルベドの、金色の部分(金色になる部分)は備えている。だからL様は、「あとがき」のようにレイ=マグナスのアニマを投影されているわけではない本編においても金髪で現れたし、また完全版ギガスレを制御できればなんでもできてしまう。ファウスト(すいませんファウスト自体は読んでません)に登場するメフィストフェレスは、自分の事を「自分は常に悪を欲して、しかも常に善をなす、あの力の一部です」と称したそうですが、そこで言われている「あの力」がそのまま使えるようになるって感じでしょうかね?

 魔族はフィブリゾに代表されるように、L様のことを理解しているわけではないんですよね。滅びをL様にインプットされたからそこで止まってしまっています。魔王レベルだともうちょっと理解してるのかもしれませんが……。で、「金色の魔王」と言う呼び名は、もうそのまんま、魔族側からの呼称であって、世界の母とか神性とかは無視した呼び方ですよね。わかってないから仕方ないんですけど。
 錬金術における金色なる存在は、哲学者の石とか哲学者の息子とか永遠の水とか呼ばれておりまして、原理はまだ解らないけど相反するものを持ち合わせている、という結果(実現した状態)は決まっているからか、パラドクスで記述されます。「水で燃やし、火で洗え」「私は白の黒であり、白の赤であり、赤の黄である」「赤くて赤味を欠く」「進むことなくして進み、動くことなくして動く」「石は安っぽく、未熟で、飛び去りやすく、貴重な、完全な、不動不変の存在」とかです。そのパラドクスが多く出てくるのはアルカヌム、秘密物質と訳されているようです。そして石、水のほか、「一なる世界」とも呼んでいるとのことです。
 一なる世界。これってまんま魔族の目指すものでは? 少なくとも私はそう直感しました。
 これをなんかロンリーに盛り上がってる私は、金色の魔王とは「世界まるごと滅んで取り込まれることで、ルベドを起こしL様(と一体化した自分たち)が金色の存在、一なる世界になる」ことを目指しての一方的な魔族からの呼び方(ただし呼んではいけない)のように感じてしまったんですが……。
 でもアルベドがちゃんと行われていないので(いやあくまで仮定なんですけど)、ルベドが起こるはずないんですよね、錬金術の基本から言えば。むりやりネグレドに戻そうとしているようなだけで(錬金術的にネグレドに戻すの自体、やっていいことなのかどうかはわかりませんが……駄目そうな気がするなあ……)。
 で、L様と言う大いなる存在が、そこを分かっているのかいないのか? 本編でもムキになってポカミス起こす人格なので、わかってないって言えれば楽なんですけどね……おおいなる存在だからね……あるいは初めからルベド、金色の存在で「安っぽく未熟で移ろいやすく貴重で完全で不変不動」だから移ろって世界や魔族が出来ちゃったんだよーとか言えればいいんですけどね……なんか個人的にそれはしたくないんです。なんでかはきかれても答えられませんが。L様に過去「(あたしは)ウロボロスに焦がれる哀れな端女」と言わせた過去の自分を否定したくないだけかもしれない。いや多分これだ。
 なんというか……L様はワガママキャラなのを強調されているからか、真に金色足り得る存在に見えないんですよう。滅ぼせ滅ぼせって発破かけるのが、なんだか「金色の存在になりたいから」に見えてくる。だから一旦ネグレドの状態に戻りたいんだけど、本当になりたいのは金色(混沌の海から一なる世界に変わりたい)だから、滅びと言う願望から生まれた魔族はそこで認識齟齬を起こして「世界ごと滅びれば金色になれる」という誤解を自分たちの意識で知覚できない底の方で持ってしまったのではないかって気がしてくるんですけどね。多分私だけだけど。

■ウロボロスのパラドクス
 すいませんコレついさっき思いついた部分です。
ウロボロスは錬金術では相反するものの統一の象徴、ユング心理学では意識の対立が生じていない原初の完全な状態。円や子宮でも表されます。大極図なんかもその一つとされています。
 私が過去に書いた「ウロボロスに焦がれる」とのセリフが指すウロボロスは、原初の状態のウロボロスでした。錬金術の事は全く知らなかった頃の事なので。
 この台詞は、「金色の魔王」という呼び名の意味に錬金術を放り込むと、「ルベドを起こしたいのに原初に戻りたいってなんだよ」「意識が生まれてないから対立が起こってないのに相反するものの統一?」って一瞬悩んだんですけど、錬金術には、錬金術の目指す存在にはパラドクスが必要不可欠! 白と黒があったら白と黒しかない、第三は存在せず、という論理こそ錬金術では認めない!
 ならば「原初へ進み、最終へ戻る」「対立していて対立を欠く」とかなんとか言ってしまえば、「ウロボロスに焦がれる」は二重の意味(原初のウロボロスへ戻り、また結合したウロボロス――一なる世界になりたい)で成り立……ちませんか……(自信がないので気分盛り下がってきた)。

■蛇足・フィブリゾとガーヴ
 ルベドルベド金色金色言ってますが、ルベドは「赤化」(黄化とも言います。またその黄が金色の事です)。
 あの世界で赤って言うとガーヴなんですけど(ガーヴ好きの私だけだと思うけどさ)、コレちょっと面白いと思いません? いやこの際ルビーアイは置いといてください。
 以前別の考察でユング心理学の心理の発達モデル理論のひとつ、英雄神話の構成からスレイヤーズを読んでみるってのをやったんですけど、グレートマザーから生まれたばかりの意識は「冥府の世界を知っている少年神」で、次の段階が「破滅する英雄」なんです。で、これってまんまフィブリゾとガーヴだよ! って言ってたんですが……髪の色、黒と赤ですよね。純然たる魔族で、その目的に縛られている――黒化のプリマ・マテリアから離れられないフィブリゾが黒髪で、神の手によって(神性がちょっと混ざって)人間となり、煮込まれてから目覚めたガーヴ、自覚的にグレートマザーから離れようとした存在が赤化の赤毛。どうよコレ? いや私がガ様好きだから、てのも火属性だから赤なだけってのもわかってるんですけどね。

■結論、が出せない……
 えー知識不足や思い込みが強すぎて(自覚はある)、全体的な結論としてはちょいと現時点では出せません。L様が二つ名は別として何色、混沌の海が何色(黒、白、金じゃなくても赤とか……でも赤青白黒は各世界の魔王と竜王の色なんだよなー)かとかが公式発言にあれば上記の無駄話はすべて成り立つか崩壊するかのオールオアナッシング。
 個人としては、魔族は「あの方を金色の存在にしたい(一体化した自分たちも金色になりたい)」という無自覚の(あくまで無自覚の。自覚してるのは滅びだけ)願望があるから金色の魔王という呼称があるんだ、という理屈は気に入っておるので捨てたくないでげすー。
 最初に「あれ、これ錬金術の考え持ち込めない?」と思った時に、ついった上で錬金術とスレイヤーズ両方ご存知の方に質問させて頂いて、「L様が金色なのは錬金術的に意味深い、全と金を結びつけるのは錬金術の考え方」とご回答いただき、しかも面白いと言っていただけたのではしゃいじゃったですよ。すいません。
 わかりにくいかわかりやすいかで言えばこれ色々かなり意味不明(錬金術知ってる方も知らない方も)で間違い多くてわかりにくい内容になってると思います。すいません。でも思いついたら言ってみたくなるもんでしょー! ねー! トンデモ理論を延々語るのはー! 楽しいじゃないですかー!











 終わる。

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