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リクエスト頂きました「空の境界」レビューでございます。
 タイトル通りネチネチ文句つけてますよご注意。

 んではつづきからどぞ





■俯瞰風景
あらすじ
 なんか特定のビルから女の子の飛び降りが連続して起こってるよ。
 でもなんでも殺せる目を持った女の子が原因になってる能力者の飛んでる部分を殺したから飛び降りはもう起こらないよ。能力者自身はまだ生きてたけど飛び降りて死んだよ。


感想
 文章はねー、意外とすらすら読めるんですよ。縦書きと横書きの差なのか、それともこの時点ではまだ奈須氏が文章を(いろんな意味で)こじらせてなかったのか、単に私が奈須氏の文章に慣れただけなのかはわかりませんが。
 ただそれは何も考えずに字を追っていくだけなら、の話。登場人物が何を言っているのかはぶっちゃけ全く分かりません。奈須氏が文章下手って言われるのはこういうところだと思う。わかってる人物同士だけで会話が進んでいくので何がなんやら。言葉のキャッチボールになってないです読者的に。その手の話が分からない、読者と近い立場にいるはずの黒桐君が「その手の話は関わりたくないから」とか言って語り手の立場に居ながら会話に参加しないことすらあるので、話の進め方が独りよがりに見えます。短いセンテンスの文章も結構とっちらかってます。式の夜の散歩について「ああそうか、だとすれば私はかつての私に恋していると言えなくもないわけだ」ってどっからそんな言葉が生えてきたんでしょうか。いや別に恋って言葉を使ってもいいんだけど、「つまり私は、ある意味過去の自分に恋焦がれているのかもしれない」あたりの言い方なら別に気にも留めないんですが。多分だけど。
 章はじめについてる散文詩、首だけ折れた飛び降り死体が百合の花に見えたって、昔は「はあ?」でしたが今は「うわ(引き)」になりました。
 で、巫条ビルの時間がひずんでるってのは結局どういう事なんでしょうか。八人飛び降りる前に八人見えてたのが「本来の彼女たちの時間に追いついていない」ってよくわかりません。意識だけ連れて行かれてました(だからこれから八人になるまで飛び降りるよ)とかではないんですよね? いや正直ここ本気で意味わからない。あと服装ははっきり判別できるのに視力ほとんどなくて顔解らないってのもどういう意味?
 それから式に殺された霧絵は思念体ではなく肉体なんですよね橙子との会話を見るに。人格が二つあったんじゃなくて、飛べる肉体を別に持っていた、と。別に驚くほどのどんでん返しじゃないよなあこれ。謎解きと言うほどのこともされてないし。なんか「ミステリぶろうとして失敗した」感じが漂ってます。まあぶっちゃけ講談社メフィストだしな……清涼院流水を排出(輩出の変換ミスだけど心情的には正解)したとこだしな……。
 同人小説が商業化されたものですが、えー、つかみは個人的には成功したとは言い難いです……。


■殺人考察(前)
あらすじ
 なんだか私服通学可だからって着物で高校に通ってる中性的な美少女がいるよ。名前は式だよ。クラスメイトの黒桐君はよくわからないけど彼女に惚れちゃったよ。でも彼女は男と女の両方の人格を持つ二重人格者で、しかも男の人格の織は殺人願望があるよ。だからいつも自分を殺しているんだ、悲しいね。そんな時街で猟奇連続殺人事件が起こったよ。式が凄く怪しいんだけど黒桐君は式と織を信じるよ。だっていつも自分を殺している織は殺人を悲しいことだって知っているからだよ。そんな黒桐君に誰かと一緒に生きていけるという普通の夢を見てしまって式はイライラするよ。そして黒桐君は式だか織だかに襲われたんだけど、暗転してなんか式は昏睡状態になってるらしいよ。


感想
 うわー。うわーうわーうわーどうしよう……文字は追えるんだけどすっげえナチュラルに何も理解できない……。俯瞰風景の巫条(=不浄)も大概「ねえよ」な苗字だったけど両儀ってのも結構大概だと思う。シキって名前は、音は綺麗だと思うよ、うん。なのでそんなに嫌いじゃないです。彼女のキャラには合ってるし。
 で、式自身も別に嫌いじゃないです。「人と違う生まれの自分可哀想」思考は根底に流れているんだけど、基本醒めていてまーしょーがねーなと一人で受け入れてて周りに喚き散らしたりしないし、あと多分普通の生き方に対しそこそこの葛藤をしているから。人間不信の気がある人は「そこまではいかんがまあそういう時期は自分にもあったわ」と思えるかもしれません。二次元美少女じゃないと存在すら許されないキャラだけどな! ですが黒桐君は彼女の一体何に惚れたのでしょうか。描写が圧倒的に足りないのに異常な入れ込みようで(しかも本人はそれをごくごくナチュラルに穏やかにやっている)作中一番狂っているのはこいつなんじゃと言う気がしてきます。あと刑事は情報べらべらしゃべりすぎ。守秘義務! 守秘義務!!


■痛覚残留
あらすじ
 お嬢様学校に通う美少女が集団凌辱の最中にナイフでお腹を刺されたよ。その痛みをきっかけに美少女藤乃は超能力で連中を惨殺しちゃうよ。でも一人逃がしちゃったよやばいよどうしよう殺さなくちゃ殺さなくちゃ。お腹が痛いです殺さなくちゃ。実は藤乃は能力を抑え込むために無理やり薬を投与されて人工的に後天性無痛症にされてたんだけど、連中のせいで一時的突発的に痛みを取り戻す体になっていたんだ。痛いと言うのは生きているという事だから彼女は痛いのが嬉しく、痛みを感じると力を使って他者を傷つけることで生きている実感を得る快楽殺人者となってしまったために、なんでも殺せる「直死の魔眼」の持ち主である式に藤乃抹殺依頼がいって殺しあうことになってしまったよ。


感想
 特にない。
 んー、なんかね……藤乃に対して感情が動かされないんですよ私。確かに可哀想な境遇の子なんですけど、「ふーん」としか思えない。これは「痛みを感じられないから生きている実感がなくて全部他人事っぽい」からなのか、単に奈須氏の文章が巧みでないからか、それともわざとなのかは判別付きません。
 感情が動かされないというなら、この三章までに出てきてる主要人物全員にほぼ言える事なんですけどね。全員「何を考えているかわからない」じゃなくて「何を考えたいのか、考えようとしてるのかわからない」。私も大概何の役にも立たんことをうだうだ考えて空回りする人間ですが、その私から見ても「なにをいつまでもぐじぐじわからんことを言っとるんだ」と思ってしまう。一応みんなそれぞれ目的、あるいは目的と錯覚しているものがあるはずなのにそれが文章としては提示されていても実感として掴めません。あ、死にかけて生きたい生きたい、なんてことしてしまったんだと思ってる藤乃はちょっと理解できましたけど。でもラストの黒桐君の言ってることはやっぱりよくわかりません。無痛症については医療詳しくないのでとりあえず明言を避けます。「眩病」をくらやみと読ませたり、「繰り返し繰り返す言葉」とか、この三章の言葉遊びはええ歳こいたおばはんになった私には滑ったギャグでした。


■伽藍の洞
あらすじ
 事故にあって昏睡状態の二年間死を見つめ続けたシキは直死の魔眼を手に入れました。でも織がいなくなってしまいました。それをうだうだ悩んでましたが雑霊に殺されかけて死にたくないと思って生きると決めました。おわり。


感想
 相変わらず登場人物がひねった言葉を言おう小難しく言おうかっこよく言わせようとして上滑りする台詞ばっかでよくわかりません。まあ共感は今までの章よりできます。少しだけだけど。少女趣味と言うか……大昔のJUNEっぽい(読んだことないけど)。喪失から来る自己の不確かさ、そこからの再生の一歩めの話と言う意味で。消えてしまった織が望んだのが黒桐という夢を守りたい、ってのも言われてみれば少女趣味な話です。良くも悪くもロマンチシズムとナルシズムの混ざり具合が。別に嫌いな話ではないですが、これだけの内容をやるのになんでこんな長いんだよ。水増ししすぎだ。もっとコンパクトに纏めろ。だれてるよ色々と(あまりに上滑りする台詞や描写ばっかりで精神がささくれてきてます)。

 境界式についてはひとまず省略。伏線は一応張ってあるんだよね。バレッバレすぎて個人的にはあんまり伏線と呼びたくないんですが。


■矛盾螺旋
あらすじ
 毎晩毎晩一家無理心中の夢を見る巴って男の子がそれに耐えかねて母親を殺して逃げてきたよ。途中で鍵を落として、式がそれを拾ったのが縁で中途半端に同居を始めるよ。巴の一家が住んでたマンションは実は式の体を手に入れるために荒耶って魔術師が建てた結界だったよ。そこでは人の死を集めるために同じ一日が繰り返されていたよ。つまり巴が見ていたのは悪夢じゃなくてつくりものの現実だったよ。式が攫われたので黒桐と巴で助けに行ったり、援軍の橙子が殺されて別の肉体で目覚めたりいろいろあって、作り物だったけど家族愛に目覚めた巴が稼いだ数分の間に式が目を覚まして荒耶を倒してひとまず平和になったよ。


感想
 長ぇよ。何が長いって余計な説明文がいちいち入ってうざい。世界観説明についてはもう諦めたが、それ以外の部分での「んなこと書かなくてもわかるよバカにしてんのか」という部分が気に障る。鮮花について「苗字が同じという事は、つまり妹という事だ」って鮮花という妹がいるってことは先の章ですでに出てるし、アルバをいちいち「赤いコートの青年――アルバは」と書くのもうざい(これはアルバが赤の称号を欲しがってたってことを暗示してるんだろうけど、いい加減しつこい)。もっとわかりやすくコンパクトに纏めろと何回言わせる気だ。あんまり比較して片方を叩いて片方を持ち上げるってのはやりたくないんですけど、奈須氏は魔術だの魔法使いだの、そういう方面の京極夏彦になろうとして奈須氏自身が上滑りして失敗してる気がする。衒学趣味がウザいんじゃなくて(ぶっちゃけ所詮なんちゃって捏造魔術世界だから、正直衒学趣味ですらないと思う。衒学趣味になってたらもうちょっとくらいはいろんな意味で楽しめるはず)「うだうだうだうだ屁理屈が長えんだよ!」という感じ。
 んでまた相変わらず奈須氏が渾身の一撃として書いてるであろう言葉が意味不明。「この螺旋が矛盾していたらよかったのに」矛盾と言う言葉がどこから生えてきたかわからない。「変えることが出来たら」ならわかるんですけど。
 あと黒桐の情報収集能力に関する有能ぶりが、毎度毎度具体的に実感できる根拠が書かれてないのでリアリティがない。巴は好きです。好きって言っても「好きー! 萌えー! 燃えー!」ではなく「あ、この子わかるわ」ってだけなんですけど、ほら他のキャラがキャラだから……。他キャラに比べて巴は圧倒的に感性が普通だから理解できるし共感できます。目の前の不幸に夢中になって、大事にすべきものを見失っていたというのもベタだけど、私割とベタエピソード好きなんだよな……。無駄死にと思われて、その死ぬまでのほんの数分が後の勝敗を分けるってのもやっぱベタですが好きです。荒耶も嫌いじゃありません。問答以外では無駄口きかないから。あと行動原理の根本も理解できる範囲のキャラなんで。魔術問答ではやっぱわかったようなわからんようなことしか言いませんがそれは橙子もだしな。つうか魔術師ってこんなんばっかだなともう諦めた。とりあえず、巴は好きだけど長いのといちいち細かいところがうざくて読んでて疲れました、てのが素直な感想。


■忘却録音
あらすじ
 黒桐君の妹の鮮花は兄に恋慕を抱いていて、妹であることを忘れさせるために遠方の親戚の養女になったよ。でも式が現れたので慌てて都内の全寮制お嬢様学校に転校したよ。そのミッションスクールではあるクラスの生徒が自分でも忘れていた記憶を手紙にされて送りつけてこられるという嫌がらせが起こっているよ。妖精の仕業だよ。人の記憶を盗んでいくよ。実は以前、クリスチャンの生徒が売春させられて妊娠してしまったんだけど、彼女は寮が放火にあった時に逃げなかったんだ。みんなの罪を贖うためにクリスチャンが自殺したんだ。だっていうのに平然としてる他の生徒に怒りを覚えた妖精使いが連中を自殺に追い込もうと妖精を使役していたんだ。でもその妖精使いって言うのは、本当は使われていたんだよ。誰にって? それはねぇ。


感想
 なんでヲタの人って妹好きなんでしょうね。兄である自分は無条件で優位に立てるとか幼いころから慕われたいとか肉親だから自分の事を無条件に受け入れてくれるだろうとかいう幻想でも持ってるんでしょうか。私は7歳上の兄を持つリアル妹ですが、兄は嫌いじゃないけど兄萌え妹萌えは理解の範疇外です。まあそれはどうでもいいですけど、10歳になるまで一緒に育ってたら、すでに妹としてというかそれ以外に認識なんてされないでしょうよ、それも未だに兄さんって呼んでたら余計。鮮花は何を言ってるんでしょうか。ていうか起源が禁忌だから兄に惹かれるってやっすい禁忌だなオイ。鮮花の起源が明かされるのは次の章ですけど。近親カニバとかならドン引きしつつも「お、おう、確かに禁忌だわ」と思えるんですが単に近親なだけじゃなー。二次元に溢れかえっとるじゃんその程度。エロゲと一緒にすんなって? 何言ってんですか奈須氏はもともと同人エロゲライターですよ。まあ鮮花は起源覚醒してないからこの程度ですんでるってことなんでしょうが。
「趣味が悪すぎるってもんなんだから!」この言い回し、Fateの凛様思い出して拒否反応が出るのでやめてほしい。私は凛様が本当に無理なのだ。だからHAもやってないのに。書かれたのは空の境界の方が先ですけど、奈須さんてこういう女が好きなんですか? それとも「~なんだから」って女が言うの萌えの人? 月姫のコピーも「私を殺した責任、ちゃんととってもらうんだから」でしたよね……。鮮花は近親ネタ以外は感性はまだ普通寄りのベタなツンデレ妹なんですけど、言い回しやら言動やら作中で言われてるほど頭良くないとか凛様のプロトタイプキャラっぽい。
 んでミッションスクールの学長がOGだからって橙子に事件調べてって依頼してきてますが、タイプムーン世界のカトリックって全体、末端に至るまで魔術認めてるの? 私どうもそこが受け付けない。魔術にかかわる部門が存在していてそれが隠匿されてる、一般の神職は存在も知らない、ならまあいいやで済ますんですけど。というか橙子が魔術師って知ってるからこんな変な事件の調査依頼したんだよね? ならなんで封印指定受けてる橙子を放置してるんだ?
 んで、超お嬢ミッションスクール内売春組織って男性からするとロマンを感じる物なんですかね。ていうか「超お嬢ミッションスクール内売春組織」ってだけだけどすげえ某作品のパクリくせえ……(もしくはミステリ系エロゲくさい)。
 玄霧は「自ら考えることができない」とか言う割にぐだぐだぐだぐだ長々と永遠が記録がと鬱陶しいですね。でもまだ、言ってること自体はまあ理解できる範囲内ですけど(永遠の定義は除く)。学院時代の師匠にでもこれそのまんま言われでもしたんでしょうか。荒耶の次が「世界に言うことを聞かせられる言葉」を操る魔術師、てのはいいと思いますよ。言葉は見えませんから斬れないしね。大がかりな荒耶と言葉だけのシンプルな玄霧も対照になってますし、荒耶の次の敵がしょぼかったら興醒め半端ないですから。かといってあれ以上大がかりなのはもう出せませんしね。ストーリーとか構成だけで見るならこの章はちょっと面白かったです。よくあると言えばよくある構成な気もしますけど。


■殺人考察(後)
あらすじ
 式が昏睡状態に陥ったと同時にぴたりと止まっていた猟奇連続殺人がまた起こり始めたよ。犯人は前々から名前だけ出てた白純理緒って男の子だよ。彼は以前、式に懸想して告白したけど「弱い人は嫌い」とフラれてしまい、何をトチ狂ったか「じゃあ喧嘩してみよう」と嫌われ者を殴ったらその一発で殺してしまったよ。死体の始末に困った彼は「あ、コレ食べちゃえばいいんじゃね?」って思ったよ。そしたらそこに荒耶が現れて理緒の「食べる」という起源を覚醒させてしまったよ。理緒、一文字違ったらレオで獅子だったのにってやかましいわ。起源覚醒者となった理緒はもう人間じゃなくなってしまったよ。以前の猟奇殺人も彼の仕業で、二章の暗転後に式に襲われた黒桐を助けたのは荒耶だったよ。理緒は式を殺人鬼仲間にしたがってたけど、本当に想っていた相手は黒桐だったよ。でも拒否されちゃったんで勢い余って黒桐を殺しちゃって、式も殺そうとしたけど返り討ちにあったよ。実はっていうかお約束で黒桐は生きてたよ。式は理緒を殺してしまったからもう人を殺すことはできなくて、事件は解決して退院してふたりで寄り添って歩いていくよ。


感想
 黒桐がうざい。
 いや私がキレイキレイ正論を言われると反射的に「うるせえよいい子ぶりっこが。幸福に優しく育った人間様はご立派でいらっしゃいますね蹴るぞ」と反感抱くゲスクズだからなんだけど。でもこの章で綺麗事言ってる時の黒桐って微妙な上から目線感がなんかする。あとなんでこいつ何の抵抗もなくドラッグ試してんの? 凡庸に見えて狂ってるって暗示? いや凡庸でも狂ってても黒桐に好意って私はどうも抱けないのでどっちでもいいっちゃいいんですが。
 白純の起源、「食べる」ってなんだよ。「捕食」とか「食す」じゃいかんのか。さんざん格好つけた単語ねじくりまわしといてなんで唐突に現代口語? いや白純が言う分には「食べる」でもいいんだけどさ現代っ子だから。しかし本当私は奈須氏とは「そこは気取れ」「そこは気取るな」と思うポイントがズレてるなあ。
 白純に一方的にやられながら黒桐を想う式のシーン、ポエティックぶりがきつい。いや式が本当に黒桐のことが好きで大事で仕方ないんだってのは伝わってくるんですよ。だから式にシンクロできたら流涙モノのシーンなんですけど、いかんせん私、黒桐に入れ込めないので「お、おう。あんた結構乙女っ娘だったんだな」みたいな反応しかできません。ああでも改行しまくりポエティックでも六章までの屁理屈こねまくり文章・台詞に比べればマシですね。色々「うっわぁ」となる文章ですけど。でもまあこの七章はそれまでより文章がシンプルでまだ読めます。白純を殺してしまったから式はもう殺人できない、ってのはいまいちよくわかりませんけどね。
 エピローグのあらすじは割愛。どうまとめればいいか私の頭ではわかりません。ぐだぐだ二人が言ってるけど、結局結論はベッタベタなだけの話。とりあえず疑問として、根源の方の式はなんで四年前に出てきてたの?


総評

 ボーカルユニットKalafinaが生まれ出るきっかけとなった作品です。ありがとう。そしてありがとう。






 ……じゃダメですか、はぃ。


 いい話……いい話なのかな、これ? 黒桐が好きなら多分大団円ハッピーエンド、おまけで最後ちょっと切ない系のいい話なんでしょうけど。なんだろなあ、理緒がどうにもならないのは確かに仕方ないし、ご都合主義でうまくいっても興醒めなんですけど、結局式と黒桐しか救われない(藤乃は微妙ライン)話を七章、文庫版上中下でやっただけってのがなんか引っかかります。ゲームだとFateの「1ルートにつき救済(生き残る、ではなく精神的救済ね)を与えられるキャラは一人だけ」てのは逆によかったんですけど。だから1ルート限定の小説ではなく多重構造複数ルートのゲームに絞った方がいいと私は感じるんですけどね。厨二まっしぐら文章も、ゲームだとなんでか妙な魅力を放つので。ゲームだからできる演出の力も大きいですし。

 んー……Fateプレイしてから再読して思ったんですけど、多分奈須さんは、設定やキャラクターを作る力はそれなりにあるんだろうと思います。でもご本人や信者の人たちが思ってるほど頭がいい人、かっこよくものが、かっこいいものや頭のいいキャラが書ける人ではないと思うんですけどね私は。バカで歪んだキャラはそこそこ書けてる(っていうか基本全員そう)と思いますけど、多分奈須氏にはその自覚がないか薄い気がします。でなきゃわざとやってるミサワ系か。厨二病をかっこいいと言う人にとってならどのキャラもみんなかっこいいのかもしれませんけど。
 なんかこう、根本的なところでいつもよくわかんない設定説明台詞でごまかされはぐらかされてる印象を受けます。たとえるなら、「ここに穴がありますよー。結構でかいですよー」と指摘しようとすると、「穴が」って言ったところでキャラクターが「いやこれ必要な穴なんだよ、なんでかっていうとね」と怒涛の言い訳をしてくるみたいな。キャラクターとの距離はある程度は取れてるんでしょうけど、世界観とは距離が取れてない気がします。作り込んでるのはわかるんだけど、「こんな世界作っちゃったボク凄い」臭がなんか長々した説明台詞から漂ってきてる……愛着を持つのはいいんですけど、愛しすぎるのは、それを隠しきれてないのはどうよ? と思うんですが。同人ならそれでもいいんですけど(というか同人の出発点がそこだから)、商業ルートに乗っけるプロならもうちょっと距離を……ってこれはもともと同人小説でした。
 しかしその愛しい世界観を丸ごと全部こっちに押し付けてこようとするので、年寄りは読んでて疲れます。ゲームだと世界観や設定がルートごとに解明されていくので耐えられるんですが、小説になると一気に持ってこられるので「わ、わかった。わからないけどわかったからちょっと待ってくれ」ってなりますなんか。
 で、途中ちらっと京極夏彦を引き合いに出して、衒学趣味になってないって言いましたけど……すごく嫌な言い方をしますね。なんか私、奈須氏って「錬金術師ぶってる」人に見える。相反するものの両立とか同居とかそういう云々が。私は錬金術わかってないですし、奈須氏が錬金術勉強されたのかどうかも知りませんけど。ユングの集合的無意識をよく引き合いに出してたんで全く知らないとかは多分ないと思いますが。

 まほよこそ出したけどなんかひたすらFate商法を続けているタイプムーン、多分私はもう手出さないです。いやFate/stay nightと空の境界しか見てないですけど。どっちも昔の作品なので今の作品をどうこう言えないんですが、さすがにちょっと疲れました。エクストラはRPGだからマシになってるかなーというのと赤セイバーが気にはなってるのですが、PSP持ってないしハードごと買おうと思えるほど奈須氏に目を瞑れませんです私。PC移植版でも出れば考えますが、そもそもエクストラが気になってる理由は赤セイバー&嫁セイバーのデザインとキャラなので、陰謀や深謀遠慮や難解な捏造専門用語に満ち満ちた世界観はもういいです。お腹いっぱいですうーんもう食べられないよぉ……。
 後日談の未来福音、何気なく買って積んでるけど、これはもうこのまま永遠に積みコースかな……。

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